全ては、国民のために、国民の健康と生命を守る医療制度の確保と充実のためにという考えで取り組んでまいります。未曾有の不況下で国家財政は破綻状態にあり、医療費の財源の確保も困難な状況です。そのために、医療や介護を十分に受けられない人たちが今後も増加してくるものと考えられます。また、長年にわたって続いた医療費抑制策により医療機関も疲弊しており、危機的状況にあります。
我々は、一昨年より、医療、介護を中心とする社会保障分野は、雇用誘発係数も高く、経済の総波及効果も高いために、社会保障を充実させ雇用を拡大することで内需を拡大し、日本の外需依存度の高い経済構造に変化の一助とすべきであると訴えてきました。また、社会保障を充実させ内需を拡大することで、生活に安心とゆとりが生じ、それによって高齢者に多い生活不安に対する備えとしての資産が消費にまわり、経済循環によい変化を与えることが期待されます。さらに人手不足の医療、介護分野の給与水準を引き上げることで、数十万人の雇用が創出され失業率の改善にも大きく寄与すると考えます。我々は、このような形での社会保障充実による国家のあり方の再構築を訴えてまいりました。
基本的には、このような考えを具体化するための取組を日医で行うことで国民に医療・介護を中心とした社会保障制度のあり方についての提言を行い、理解を得ていく。そして、国民の理解と支持のもとに国に社会保障のあるべき姿を訴えていきたいと考えます。
そのためには、多くの課題があります。短期間に全てに取組み、実現することは困難ですが、以下のことを重点的に取り組んでいきたいと考えます。

国民の健康と生命を守る医療制度を確立するためには、より多くの医師の参加と提言が欠かせません。そのために、多くの医師が賛同できる理念の構築を最重点とし、新たな理念のもとに日医の活動に取り組まなければなりません。
医療政策会議で検討、策定した基本理念に基づき、日医の普遍的理念としての『社会保障立国論』を構築します。
また、この基本理念にもとづいた各論としてのグランドデザインを、外部、会員の意見を十分に取り入れ多角的な視点でシェイプアップした上で、工程表を作成し実践していきます。

医療への信頼回復のために、医師会に求められているのは自律機能の強化です。
非常に困難な問題ですが、生命倫理懇談会等で検討をすすめます。

国民の医療への信頼を醸成するには、生涯教育の推進と質の向上は必須です。現状は、総合医問題もあり、必ずしも多くの会員の理解を得ているとは考えにくい状況です。今後も学術推進会議で検討していきますが、勤務医の意向も反映し、医学教育、臨床研修制度、専門医制度、生涯教育と連携した検討が必要です。

政権交代により、医療安全調査委員会の問題は一旦リセットされています。第三次試案の問題点を再確認し、民主党から今後提出されるであろう試案を踏まえ、学会、勤務医の意向を十分取り入れて検討を行います。

地域の医療を支えてきた病院の疲弊は深刻であり、医師不足、診療科間の医師偏在などから勤務医の過重労働は極限に達しています。地域医療再生には、医療費増による診療報酬全体の引き上げで地域医療を最前線で担っている病院、診療所の経営基盤の安定を図るとともに、医師養成数の適正な増加による医師不足対策など勤務医の過重労働の軽減が必要です。また、病診、病病連係を強化することで、高度先進医療から急性期、慢性期、在宅まで切れ目のない医療を提供するとともに介護との連携強化にも努めてまいります。
勤務医の過重労働軽減策の強化とともに、今後増加する女性医師が生涯を通じて、そのライフスタイルにあわせた勤務態勢がとれるようなシステム作りと女性医師の就労に積極的に取り組む病院等医療機関への支援策に取り組んでまいります。

いま問われているのは日本医師会が真の医療専門家集団の代表として社会に認知され支持される団体となることです。医師一人一人の意識改革とともに、医療の専門家集団としてのあるべき姿を求め、それにふさわしい活動が行えるような組織へと変えていかなければなりません。日医が変わった、確かに変わったと思われるような取組にしたいと思います。そのために、各ブロックでの議論を踏まえた検討委員会を設置し議論を進めます。また、全都道府県の意見を集約する場も設定し迅速な対応を進めます。

社会の変化の速度は顕著です。医師会の対応はそれ以上のものが求められます。ITが活用できない執行部は、社会から、会員から取り残されます。また、多様な意見を集約するためにも、双方向性の情報伝達が欠かせません。そのためには、ITを活用し、迅速かつ的確な対応がとれるような役員会にしてまいります。

日本医師会と日本医師連盟は明確に峻別しなくてはなりません。新公益法人制度への移行もふまえ、早急に規約改正に取組みます。




